お茶(茶道)について「知・聞・感・楽」

Story no.6

金持ちが趣味を楽しんでいるだけ、ではない

2014.09.26

最近、お茶を嗜んでいる大工さんが言ったのです。
「人から『お茶って、お金が掛かって(高くて)大変だよね。』って言われるけど、こう答えている。『お金を出して、職人を守り育てているんだ。お茶は日本独特の文化や芸術と言われるけれど、それを支えている道具などを造っているのは高い技術を持つ職人だ。指物師、塗師、蒔絵師、鋳物職人、陶芸家、和菓子職人、着物、織物を作る人等々。勿論茶室を造るのは大工だ。露地を担う庭師や植木屋も。勿論、お茶を作る人々もいる。それらを取り持つ、取り扱う商人もいる。お茶をすることで、お茶会に参加することが、その人たちの生活を守り、その技術を継承、発展させているのだ、と思うんです。』」
 そう言えば、随分以前、お茶のいろいろを展示してある○△会館を訪れた時、抹茶を混ぜる茶筅(ちゃせん)の作り方などもあり、直径2cm位の竹から80本立てや100本立ての茶筅を作る職人は大変だなあ、凄いなと思いました。
彼の話を聞いて、自動車産業が思い浮かびました。自動車1台は、何万とういう部品で成り立っていると言われます。例えばネジを取ってみても様々な種類や材質が有ります。ガラスもあります。ゴムもレザーも布地も、勿論プラスチックも、etc.etc.。
私たちの消費生活も同じことが言えますね。
住宅産業だって、大工さんだけでは家は建てられない。材木屋、屋根拭き職人、基礎工事職人、電気関係、給排水関係、襖や障子の指物職、ガラス窓、カーテンなどの布地等々、諸々の部品を作る人など、表舞台には出てこない職業の人が沢山います。

・茶道具職人「千家十職」
話を戻しますが、茶道具を造る「千家十職」と言われる人たちが居ます。歴代の方々がその職と伝統を守り伝え、創意工夫も続けています。
楽吉右衛門家は茶碗(?)師で、言わずと知れた楽茶碗を造っています。永楽善五郎家も茶碗などを造る焼物師・土風炉師、中川浄益家は金物師・錺(かざり)師、奥村吉兵衛家は表具師、黒田正玄家は竹細工師・柄杓(ひしゃく)師、中村宗哲家は塗師で、棗(薄茶器)などで有名です。土田友湖家は袋師で茶入(濃茶器)を包む袋=仕覆(しふく)や袱紗(ふくさ)を作ります。大西清右衛門家は釜師、飛来一閑家は一閑張細工師、駒澤利斎家は指物師、です。
一流の職人が作った道具の数々で、そのような道具の素晴らしさが理解出来て、遠慮せずに使って、心穏やかにお茶を楽しめるような身分、数寄者になってみたいですね。自分には一生無理だろうな……。

・確かに凄い物(道具)がある
 お茶に使われる道具などには、美術品や骨董品の類も有るので、確かに驚くような金額の物があります。前にも書きましたが、織田信長は、功労のあった部下への恩賞に、以前なら何処何処の(何千、何万石)分の領地を与える代わりに、◯△の茶器を与えたとか。今なら幾ら位になるのでしょうか。 (信長さんはズルイなあ。)
 ある茶席で正客が席主に問いました。「下世話な話で恐縮ですが、この茶碗、買うとしたらどの位ですか?」。席主の答えは「家の蔵に有った物なのでよくわかりませんが、家一軒分位でしょうか。」
 別の茶席では、(私が思うに、下手な、私でも書けそうな)「川」の一字だけの掛け軸がありました。席主と正客の話から、徳川十五代将軍慶喜公が幼い時に書いたものだと言う事でした。 “何でも鑑定団”に出されればどれ位なのでしょう、と考えるのは......ですね。
ただ好き嫌いがありますから。例えば私は、何億円もするピカソの絵ですが、欲しいとは思いませんが、その価値を理解できる人にとっては物凄いお宝なのでしょうね。
こんな逸話を聞いたことがあります。益子焼で有名な浜田庄司氏が造った大皿や茶碗などを観て、ある方が「先生はいいですね。サラサラサラと(焼物に)一分も掛けずに絵や模様を描くと、何百万にも成って」と。浜田先生は「描くのは一分位ですが、描くまでに60年掛かってます」と言われたとか。重みのある言葉だと思います。

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Japanese HIRO

PROFILE

Japanese HIRO()
元矢板市職員、会計管理者で定年退職。今、矢板市商工会職員で残り少々。
体育会系で、汗をかくスポーツ大好きですが、年々体力は減衰。スキー、野球(ソフトボール)、陸上競技(投てき。中学時代は長距離系で県大会にも出場)、学生時代に馬術をちょっと。
文科系の趣味も少々。木版画で年賀を毎年手作りし30年。音楽は抒情系、癒し系が好き。浮世絵や日本画、京都、奈良、文化財等の鑑賞も好き。
アルコールも種類問わず好き。でも今は…。
B型の故か、集中するけど飽きっぽい。
何事も「ヤルなら楽しく」がモットー。

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