お酒に隠された秘密をとき明かします

Story no.4

全国新酒鑑評会 富美川・大吟醸が金賞を受賞!

2014.08.12

全国新酒鑑評会は明治44年(1911年)に国によって開催されるようになった日本酒(大吟醸酒または純米大吟醸酒)のコンテストで、今年で102回目の開催となりました。
審査は5月8日と9日の2日間にわたって行われ、5月20日にその結果が発表されました。主催は独立行政法人・酒類総合研究所。かつては大蔵省国税局の醸造試験場だった組織であり、この組織に在籍する酒類鑑定官が審査を担当します。現在行われている日本酒の様々な鑑評会や品評会、コンテストの中で最大であり最も公正な鑑評会と言われています。

審査は利き酒の絶対評価で行われ、基準点数よりも優秀な酒を入賞、さらに高評価の酒を金賞とします。今年は全国の酒蔵が酒造りの技の粋をつくした純米大吟醸酒や大吟醸酒が852点出品され、その中で入賞は422点、更にその内金賞199点が選ばれました。
約半数が入賞し、金賞でさえ出品数の4分の1である訳ですから金賞を取るのはそんなに難しくないと思われるでしょうが、出品する側はいずれも金賞を受賞できると自信を持って出品しているわけで、それだけ美味しい酒を造ってもなかなか金賞を取れないというのが実感です。

例えば今年の鑑評会では残念ながら大田原の天鷹や地元の十一正宗、新潟の八海山などが選外となってしまいました。名酒蔵と言っても毎年入賞あるいはさらに金賞を受賞するのは非常に難しいことなのです。
今年は地元の富美川・大吟醸(富川酒造・忠愛)が金賞に選ばれました。また、近隣の大田原市野崎の池錦・大吟醸も金賞に選ばれ、いずれも十数年ぶりの金賞受賞となりました。

そこで、7月8日(火)に富美川の金賞受賞をお祝いすることになり、6月に「ぶらり途中下車の旅」で取材を受けた居酒屋「出雲」さんで私と富川酒造さん、森戸酒造の社長さんで勉強を兼ねて「富美川・大吟醸・金賞受賞酒」、「十一正宗・限定大吟醸・真」、「池錦・大吟醸・命・金賞受賞酒」、京都の「玉の光・純米大吟醸・雄町」を持ち寄って、那珂川町特産の「温泉トラフグ」フルコースを頂きながら飲み比べをしてみました。
残念ながら今年は入賞を逸した森戸酒造さんもお見えいただいたのは、森戸社長の器の大きさであり、二つの酒蔵が良きライバルとしてお互いに認め合いながら頑張っている証拠でもあり、矢板の地酒のさらなる発展が期待できると確信させられる事でもありました。

来年は二つの蔵が共々金賞を受賞されることを祈りたいと思いながら、4種類の大吟醸をいただきました。「富美川・大吟醸・金賞受賞酒」は4種類の大吟醸の中でもフルーティーな香りが際立って高く、端麗辛口な味わいで優しい女性的な飲み心地が印象的でした。
「池錦・大吟醸・命・金賞受賞酒」は香りは富美川程ではありませんが、口に含むと旨みが広がり、その旨みを柔らかな酸味が包み込んでゆき、豊かな余韻がある飲み飽きしない、飲むほどに旨さが深まるという辛口の大吟醸でした。
一方惜しくも選外となった「十一正宗・限定大吟醸・真」もこの2つの金賞受賞酒に比べても引けは取りません。しっかりとした旨みが広がる辛口で、飲みごたえのある極上の美酒です。わずかに優雅さや上品さという点で2つの金賞受賞酒に比べれば劣るのかもしれません。これも飲み比べるから気が付く程度の違いです。

このように金賞、入賞、選外の違いは微妙なものです。しかし、この微妙な差を埋めてゆく努力と緊張感が日本酒のレベルを向上させているのかもしれません。
いずれにしても上品な旨みのフグ料理を食べ、酒談義に話を弾ませながら飲んだ極上の大吟醸は思い出に残るひと時を醸し出してくれたのでした。

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小川 素市

PROFILE

小川 素市(おがわもといち)
新川屋(しんかわや)酒店三代目。61才。
酒の話になると止まらないという噂も。

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